ファシリテーションを行ううえでの留意点5つ

投稿者: | 2020年11月25日

仕事でファシリテーションを行うことは多いですが、会議を上手く進め、尚且つその議題となっている問題を解決に導くには、なかなか奥の深い技術や心構えが必要です。

ファシリテーターの役割は、単に会議を円滑に進めることだけではありません。

役割を会議の司会者に限定することなく、「そこで提起される問題を解決に導く」というより広い視点で取り組むと、様々なことが見えてきます。

今回は、ファシリテーションを行ううえで留意すべき5つのポイントについて書いてみたいと思います。

入念な準備を行う

上手くファシリテーションを行い、会議を有益なものとするためには、かなりの事前準備が必要です。「準備が8割」という人もいるくらいです。

参加者についての準備

まず、人を確認します。参加者はどのようなタイプの人か、キーパーソンは誰かを把握し、それぞれの人が何に関心を持っていそうか、どこまで理解が及んでいそうか、などを捉えます。

進行についての準備

そして、議論で現れそうな論点を整理します。議題に対して、参加者の観点からどのような論点がありそうか、またその論点を見たときにどのようなステップで進めれば良さそうか。議論の進行はどんなシナリオが考えられるか。論点、進め方、シナリオについて思いを巡らせます。
ここで重要なのは、具体的なゴールイメージを持つということです。その会議でのゴール、「どのような状態になっているべきなのか」を、しっかり定義しておくことが肝要です。

会場についての準備

会場についてもチェックが不可欠です。テレビ会議であれば回線の状況や、万が一誰かがアクセスできなかった場合などの代替手段を用意しておく必要があります。社内会議室であっても、プロジェクタには滞りなく接続できるか、会議室の椅子の数は大丈夫か、などに気を付けます。社外の会場手配が必要であれば、依頼した道具が意図したとおりに準備されているかなど、無用な認識齟齬が発生しないよう、より入念な確認を行います。

失敗しても前向きに

せっかく入念な準備をしても、会議の進行については、想定通りに行くことの方が稀です。反省は必要ですが、引きずっても仕方ありません。想定通りに行かず議論が紛糾しても、納得するまで準備したという事実に自信を持ち、新たな課題を早期に発見できたと前向きに捉えるマインドで行きましょう。

ゴールイメージを共有し確認する

会議の始まりや進行途中における要所では、挙がった論点の目的や成果物のイメージを、改めて確認します。「そんなことは当然分かっているハズだ」という思い込みは捨て、しっかり確認しましょう。意外と人によって認識が異なっているものです。特に最初の段階で参加者間の認識のズレを確認し修正しておくことで、その後の議論の効率が各段に変わってきます。参加者の参加意識を高めるためにも、これは有効です。

書く

挙がった議論のポイントは、ホワイトボードないし大きな紙に書いて、参加者全員が見える位置に示します。「書いて見せる」という行為は、次のような無視できない効果を望めます。

  • 議論を可視化することで、既に話した内容を「思い出す」必要がなくなる
  • 対立する意見についても、「人」ではなく「論点」に対して議論が進むようになる
  • 発言内容を誤解したまま先に進むことを防げる

特に二番目については、参加者の感情面に配慮するという点でも極めて有効です。面倒がらずに、都度書き留めて見せるようにしましょう。

周囲を巻き込む

会議の主役は参加者であり、ファシリテーターではないことに注意しましょう。ファシリテーターが自分の意見を主張することはNG。周囲を巻き込んで意見を出させる役割に徹します。

ここでは次のポイントに注意します。

  • 発言者の意見を尊重し、意見を出しやすくする。
  • 発言内容を理解するよう努め、「聴く」姿勢を示す。
  • 相手が人間であることを忘れず、感情面に配慮する。

繰り返しになりますが、ファシリテーターの役割は自分が主張することではありません。参加者を巻き込み、意見を引き出すことに重点を置きましょう。

終了後のフォローも忘れずに

会議の終わりには、「なぜ」「いつまでに」「誰が」「何を」実施するのかを再確認します。場合によっては会議終了後も関係者のフォローを行い、会議で決められたことが実施されているかを見ていく必要があります。この姿勢は、ファシリテーターの役割を会議の司会者であると限定していると、決して出てきません。「問題を解決に導く」自覚があって初めてできる行動です。