問題解決4つのステップと注意点

投稿者: | 2020年11月22日

ビジネスにおける問題解決には、セオリーというべき4つのステップがあります。

そのステップとは、

What、Where、Why、How

です。

物事を What -> Where -> Why -> How の順に明確にしていき、一つ一つ取り組んでいくことがとても重要と言われています。

この4つのステップをきちんと踏まないと、

  • 効率的な問題解決ができない
  • せっかく作った施策が説得力を持たない

などという、残念な結果になってしまいます。

各々のステップの内容と、そこで気を付けるべき注意点について記述します。

What

まず最初に取り組む「What」。

これは問題 – 「何が問題なのか?」を特定することです。

問題を特定し明確にすることは至極当たり前の様に思えますが、意外と「何が問題なのか」は、関係者の間でズレがちです。

ここを疎かにしていると、後々大きな手戻りになるリスクがあります。

問題の特定に取り組む際は、

  • 「何が問題なのか」は人によって異なるものである
  • 関係者間では異なる認識がされているものである

ということを念頭に置いて、取り組むべきです。

「問題とは、あるべき姿と現実とのギャップである」ともよく言われます。問題解決は「あるべき姿」の追求であり、理想と現実とのギャップの解消でもあります。

「あるべき姿」の共通認識を関係者間で持つことが、最重要となるのです。

Where

次に、「Where」の分析を行います。

ここでは「どこが悪いのか?」を特定することが目的となります。

What(何が問題なのか)の後、すぐにWhy(なぜ問題なのか)を考え始めてしまうというのはありがちですが、Whyの前にWhere(どこが問題なのか)を熟考するというのは、非常に重要なステップになります。

というのは、いきなりWhyを考え始めてしまうと、次のような落とし穴に陥りがちだからです。

  • 切り口がありすぎてどこにポイントを絞ればよいかがわからなくなる
  • たまたま目についた印象的な事象に引っ張られて、すぐに原因がこれだと飛びついてしまう
  • 主張の強い(声の大きい)人に引っ張られてしまう

こういった落とし穴にはまらないためにも、Whereを繰り返して、問題が発生している個所を特定しておくことは、その後のWhyのプロセスを効率的に進めるためにも不可欠です。

ではWhereの分析はどのように行えば良いのでしょうか?

一例として、MECEやロジックツリーと呼ばれる思考方法を利用することが挙げられます。

MECEはMutually Exclusive Collectively Exhaustive – 漏れなく・ダブリなく、の意味です。

MECEの分析軸には、以下のようなものがあります。迷ったら既存のフレームワークを使ってみるのも良いでしょう。

  • 全体集合を部分集合に分ける ・・・ 「3C」「4P」「SWOT」「5つの力」などのフレームワーク
  • 数値を構成要素に分ける ・・・ 「売上=単価×販売数量」などの因数分解
  • そこに至るプロセスで分ける ・・・ AIDMA、バリューチェーンなどのフレームワーク

MECEなどのツールを使って様々な切り口から仮説を立て、時には複数の切り口を組み合わせながら、状況証拠を集めて検証する、このステップを繰り返して、問題個所を探索していきます。

Why

「Where」で問題個所の特定を行ったら、「Why」で問題が発生している原因を探ります。

ここでは原因と結果の分析、即ち因果関係の構造をはっきりさせるステップを行います。

ターゲットとなる問題を引き起こしている原因を、Whereで分析した発生個所に基づいて探ることになるわけですが、ここでは次の条件に注意しながら、因果関係を見出していきます。

  • 仮定した原因と結果との間で、時間的順序は正しいか?
    例えば「新商品が売り上げが振るわないのは、競合が似たような製品を売り出したからだ」という仮説の場合には、「売り上げが振るわなくなった」のが「競合が似たような製品を出した」後である、ことを検証しなければなりません。
    もし競合が類似製品を出す前から、自社の新製品の売り上げが伸びていないのであれば、この仮説は見直す必要があると言えるでしょう。
  • 他の要因はないか?
    例えば、「Aという参考書をやっている学生は偏差値が高いというデータがある。だから、成績を伸ばすにはAをやるのが有効だ」という仮説はどうでしょうか。
    ひょっとすると、非常に成果を出している学習塾で、Aという参考書を取り上げて重点的に教えているのかもしれません。その場合、偏差値が高いのは、Aという参考書そのものよりも、学習塾での教え方の方が、効果という面ではウェイトを占めているということがあるでしょう。このように、見えている原因の他に、隠れた原因があるかもしれない、ということを念頭に置いておく必要があります。
  • 見えている原因が、たまたま最後に現れて目に見えているだけではないか?
    例えば、「夫婦の仲が悪くなったのは、不景気で年収が下がって、生活に余裕がなくなったからだ」と仮定した場合を考えます。
    この場合、長年にわたる性格の不一致や、お互いの気遣いのなさが蓄積してきた結果、たまたま「年収が下がった」という事実によって、夫婦仲の悪さが顕在化しただけかもしれません。見えている原因は、問題が顕在化するための最後の一押しになっただけという可能性があります。それまでの経緯も注意深く観察していきましょう。
  • 原因と結果を取り違えていないか?
    例えば「税金の安い国は景気が良い」という事例があった場合、「景気を良くするには税金を安くすれば良い」と考えるのは早計です。
    税金が安いから景気が良いというよりも、景気が良いから税金を上げずとも充分な税収を得られているのかもしれません。どちらが原因でどちらが結果であるかは、注意して見ていくことが重要です。

How

最後に、問題解決のための行動を決める「How」です。

「Why」で出た原因に対して、具体的な施策を検討していくわけですが、ここの打ち方も様々なオプションが考えられます。

原因①に対して施策①を考えたら、MECEやロジックツリーなどを使いながら、施策①-1、施策①-2、・・・というように、細かいパターンに分割していきます。分割して出てきた施策は、様々な価値基準(この価値基準もMECEで炙り出されます)から評価し、具体的なプランに落とし込んでいくのです。

ここでは次のような点に注意します。

  • デメリットはないか?それは許容できる範囲か?
  • 実行した後の評価について考えてられているか?

まとめ

世の中の問題と解決策は無限に存在し、慣れないうちは、なかなか的を得た施策立案は難しいものです。フレームワークを使いこなすこともさることながら、よくある落とし穴にも注意しながら、問題解決に取り組んでいきたいものです。